昨年発売された「ユグドラシル」も好きだけど、
インディーズ時代の2ndアルバム「The Living Dead」も名作。
バンプのロックは溢れんばかりの若々しさと、
それゆえのほろ苦さを抱え
真っすぐ駆け抜けている。
このアルバムでは「K」という曲が特に好きだ。
若い絵描きと野良猫の詩。
その黒猫は容姿から「忌み嫌われて」
いつしか「孤独には慣れていた」、寂しさと裏返しに。
その若い絵描きは恋人を故郷に残し旅をしていた。
最初は慣れない愛情に戸惑う黒猫も
やがて心を開くがある日、貧しい生活に絵描きは倒れてしまう。
死ぬ前に恋人への手紙を託された黒猫は友達の故郷へと走る。
こうゆう叙事的な詩に奏でられる、
早いビートはこの「ホーリーナイト」と名付けられた黒猫の駆ける姿。
よくある物語かもしれないが、その詩に惹かれるね。
絵描きは「友達」に「ホーリーナイト」と名前をつけてあげる。
「HOLY NIGHT」=「聖なる夜/黒き幸」
遠い「友人」の故郷に満身創痍で辿り着いた「ホーリーナイト」は
そこで力尽きてしまう。手紙を受け取った絵描きの恋人は
もう動かなくなった猫に「アルファベットを一つ加え」埋葬する。
「聖なる騎士」、HOLY
"K"NIGHTを。
いいなぁ。
これ聴くと涙ぐんでしまう時があるよ。
一見シンプルな物語だけど、奥深い詩だ。
いい詩書くよなぁ、若いのに。おっと、年は関係ないね。
この「The Living Dead」は「K」のような「8つの物語」から
構成されている作品。
最近のメッセージ性の濃い詩もいいが、叙事的な詩もいいね。
(2000年3月25日 発売)